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ESG投資の方針

2019年10月

 JARCは、循環型社会の構築の一環として制定された「使用済自動車の再資源化等に関する法律」に基づく業務を実施しており、各関係者との“共創”により運営する自動車リサイクルシステムを通じて、日本国内の環境の保全と資源の有効活用に寄与してきました。
 自動車ユーザーの方々からお預かりした9,000億円にも上る多額のリサイクル料金の運用においても、環境に配慮した発行体の債券への投資の検討や、取引する証券会社との環境に対する取組についての対話を実施するなど、早い段階から持続可能な地球環境の保全に関する取組を進めてきました。

 JARCが設立されて20年近い年月が経過しようとしていますが、今、世界では、気候変動や貧困など人々の暮らしに負の側面をもたらす環境問題や社会問題が複合的に絡みあい、人間活動の基盤である地球環境の保全が大きく損なわれていることが更に顕在化しています。こうした事態を背景に、SDGsの採択やパリ協定の発効等がなされ、持続可能な地球環境の保全に関するトレンドが地球的規模のうねりで急速に形成されているところです。
 それと同時に、金融の世界では、持続可能性の共通言語であるESG(環境、社会、ガバナンス)を考慮することの重要性が説かれ、それを包括的に取りこむ「ESG投資」が急速に拡大しています。

 このような状況を背景に、JARCは、自動車ユーザーの方々からお預かりしたリサイクル料金の運用に際しては、PRI(責任投資原則)にて提唱されている内容(投資分析と意思決定プロセスにESG課題を組み込むことや、投資対象の主体に対して ESGの課題について適切な開示を求めることなど)を考慮してESG投資を適切かつ効果的に実施し、公益財団としての説明責任を果たすためにもその考え方や実績をあまねく社会と共有していきます。また、将来を担う「SDGs ネイティブ」といわれるミレニアル世代の価値観にも応えていきます。

 JARCではそのような思いで、財務的な収益の実現に加え、地球環境への負荷となっている環境問題や社会問題の解決や、新たな社会的価値の創造が期待できるESG投資を実施することにより、「循環型社会の実現」に貢献していきたいと考えます。

具体的な施策

(1)適格性の評価を得た債券への投資

ESG投資の対象は、JARCにおける資金運用の基本原則である「再資源化預託金等の運用の基本方針」にて運用対象としている債券で、かつ、国際資本市場協会(ICMA)等のガイドライン等に沿って発行されるグリーンボンド、ソーシャルボンド及びサステナビリティボンド等とし、適格性の評価を得た債券のみに投資します。
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(2)発行体等とのエンゲージメントの推進

発行体との信頼関係の構築及びESG投資のインパクトを高めることなどを目的として発行体とのエンゲージメント(目的を持った対話)を推進します。また、エンゲージメントを推進することにより、既存のESG事業の拡大や潜在的なESG事業の発掘など、安定的かつ継続的なESG投資の機会を得ることを目指します。更に、エンゲージメントを証券会社や他の投資家等に拡大してESG債券市場の発展に貢献します。
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(3)専門性に対応するための運営態勢の強化

ESG投資を適切かつ持続的に実施するためには、財務情報の分析だけではなく、多種多様な地球規模の環境問題や社会問題などの非財務情報を理解して分析し、ESGリスクを把握することをはじめ、ESG投資のインパクトを評価することや、更にはエンゲージメントを能動的に実施していくことなどが求められます。このような専門性を要する業務に対応するために運営態勢の強化を図り、また、独力では対応が困難な領域については、外部の専門家等と連携を図り、相互に高め合いながらESG投資を実施していきます。